
― 回復を支える補助的アプローチとして ―
片麻痺とはどのような状態か
片麻痺とは、身体の左右どちらか半分に力が入りにくい・動かしにくい・感覚が鈍いといった症状が現れる状態を指します。
主な原因としては、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの脳卒中が挙げられ、脳の運動や感覚を司る部位が損傷されることで発症します。
急性期には医療機関での治療が最優先となり、その後は回復期・慢性期にかけて長期的なリハビリテーションが行われるのが一般的です。
しかし、時間が経過しても
- 手足が思うように動かない
- 筋肉のつっぱり(痙縮)が強い
- 痛みや違和感が続く
- 疲れやすく、体力が戻らない
といった悩みを抱え続ける方も少なくありません。
こうした背景から近年、リハビリを補完するケアの一つとして、はり治療を取り入れる方が増えています。
片麻痺の回復において重要な考え方
「神経が壊れた=もう回復しない」ではない
片麻痺は、脳の神経細胞が損傷することで起こりますが、人の脳には可塑性(かそせい)と呼ばれる性質があります。
これは、「残存している神経細胞が新しい役割を担う」「繰り返しの刺激や訓練によって神経回路が再編成される」といった学習と適応の能力を指します。
そのため、片麻痺における「回復」とは単に元通りに戻ることだけではなく、今ある神経を使いながら、できる動作を増やしていく過程と考えられています。
はり治療が片麻痺に対して担う役割
はり治療は、脳の損傷そのものを治す治療ではありません。
しかし、「回復を妨げている要因を整える」、「リハビリが行いやすい身体環境をつくる」という点において、補助的な役割を果たす可能性がある施術と考えられています。
① 血流改善による筋肉・神経環境のサポート
片麻痺がある側の手足は、
- 使用頻度が低下する
- 筋肉が硬くなりやすい
- 血流が滞りやすい
といった状態になりがちです。
はり刺激によって、局所の血流が促される、筋肉のこわばりが緩和されることで、動かしにくさを和らげる環境づくりにつながる可能性があります。
② 痙縮(つっぱり感)へのアプローチ
片麻痺の方に多くみられる症状の一つが、筋肉が勝手につっぱる・力が抜けないといった痙縮です。
はり治療では、過剰に高まった筋緊張を調整する、反射的な力の入り過ぎを和らげることを目的に施術を行います。
その結果として、
- 関節が動かしやすくなる
- 着替えや介助がしやすくなる
- リハビリ動作が行いやすくなる
と感じる方もいます。
③ 感覚入力による脳への刺激
はり治療の刺激は、皮膚・筋肉・神経を通して脳へ感覚情報を送る入力刺激となります。
片麻痺では、
- 感覚が鈍くなる
- 自分の手足として認識しにくくなる
といった感覚障害が伴うこともあります。
はり刺激は、脳への入力を増やす一つの手段としてリハビリと併用されるケースもあります。
④ 自律神経の調整と全身状態の安定
片麻痺を抱える方の中には、
- 疲労感が抜けにくい
- 睡眠が浅い
- 気持ちが落ち込みやすい
といった全身的な不調を感じている方も少なくありません。
はり治療は、自律神経のバランスを整える、緊張とリラックスの切り替えを助けることで、体調管理や生活の質(QOL)を支える一助となる可能性があります。
はり治療とリハビリの関係
重要なのは、はり治療はリハビリの代わりではないという点です。
一般的には、はり治療で身体を整える、その状態でリハビリを行うという併用が現実的な使い方とされています。
※施術を受ける際の注意点※
- すべての方に同じ反応が出るわけではありません
- 回復の程度やスピードには個人差があります
- 医師の管理下にある疾患については、主治医との連携が重要です
当院が大切にしている考え方
片麻痺の回復は、短期間で完結するものではありません。
その中で、はり治療は
- 血流
- 筋緊張
- 感覚入力
- 全身状態
といった側面から、回復を支える環境づくりを助ける選択肢の一つと考えられます。
当院では、片麻痺の方に対して「無理な刺激を行わない」「その日の体調を最優先に考える」「継続的なケアを前提とする」ことを大切にしています。
はり治療は、「できることを少しずつ増やしていくためのサポート」という位置づけで行っています。
今ある機能を大切にしながら、無理なく、長く向き合っていくためのケアとして、はり治療を検討してみてください。
分からない事やお悩みの事があればお気軽にご相談ください。
