
- 1 「怠けている」「気のせい」ではない、子どもを苦しめる見えない病気
- 2 小児性慢性疲労症候群の主な症状
- 3 なぜ起こるのか?はっきりした原因は一つではない
- 4 不登校との関係|行きたくないのではなく、行けない
- 5 診断は簡単ではない|除外診断が中心
- 6 簡易チェックリスト
- 7 【チェック①】疲労・体調に関するサイン
- 8 【チェック②】活動後の体調悪化
- 9 【チェック③】学校・生活への影響
- 10 【チェック④】睡眠・生活リズムの乱れ
- 11 【チェック⑤】こころ・感情の変化
- 12 【チェック⑥】周囲とのギャップ
- 13 チェック結果の目安
- 14 治療と向き合い方|「治す」より「整える」
- 15 家族ができる大切な関わり方
- 16 まとめ|見えない不調に、見えない優しさを
「怠けている」「気のせい」ではない、子どもを苦しめる見えない病気
「朝起きられない」
「学校に行きたくても身体が動かない」
「検査では異常がないと言われた」
このような悩みを抱えるお子さんの背景に、小児性慢性疲労症候群が隠れていることがあります。
小児性慢性疲労症候群は、十分に休養をとっても回復しない強い疲労感が長期間続き、日常生活に大きな支障をきたす状態です。
見た目では分かりにくく、周囲の理解を得にくいことから、本人だけでなく、家族も大きな不安や葛藤を抱えやすい病気でもあります。
小児性慢性疲労症候群の主な症状
小児性慢性疲労症候群の症状は多岐にわたります。
単なる「疲れ」では説明できない点が特徴です。
よくみられる症状
- 朝起きられない、強い倦怠感
- 頭痛・腹痛・めまい
- 集中力や記憶力の低下
- 微熱が続く
- 睡眠をとっても疲れが取れない
- 運動や活動後に極端に体調が悪化する
- 光・音に敏感になる
- 気分の落ち込みや不安感
特に重要なのが、「頑張った翌日に強く体調が崩れる」という特徴です。
これは怠けや甘えではなく、身体の回復システムがうまく機能していない可能性を示しています。
なぜ起こるのか?はっきりした原因は一つではない
小児性慢性疲労症候群の原因は、一つに特定されていません。
現在考えられている要因には、以下のようなものがあります。
考えられている要因
- ウイルス感染後の体調変化
- 自律神経の乱れ
- 免疫機能のバランス異常
- 睡眠リズムの乱れ
- 精神的ストレスの蓄積
- 成長期特有の身体的負担
これらが複合的に絡み合って発症すると考えられています。
「心の問題だけ」「身体の問題だけ」と単純に分けられるものではありません。
不登校との関係|行きたくないのではなく、行けない
小児性慢性疲労症候群の子どもは、結果的に不登校状態になるケースが少なくありません。
しかし重要なのは、学校に行きたくないのではなく行きたくても行けないという点です。
無理に登校を促したり、「甘えている」「怠けている」と言われることで、症状が悪化してしまうこともあります。
診断は簡単ではない|除外診断が中心
小児性慢性疲労症候群は、血液検査や画像検査で明確な異常が出にくいことが特徴です。
そのため、「他の病気がないかを確認する」「症状の経過を丁寧に聞き取る」といった除外診断が中心になります。
「異常なし=問題なし」ではありません。症状そのものを見ていく姿勢が重要です。
簡易チェックリスト
このチェックリストは、診断を行うものではありません。当てはまる=必ず病気、ではありません。
あくまで「一度、専門家に相談する目安」としてご活用ください。
【チェック①】疲労・体調に関するサイン
以下の項目をチェックしてください。
- ☐ 十分に寝ても疲れが取れない
- ☐ 朝になると極端に体が重そう
- ☐ 少し動いただけでぐったりする
- ☐ 休んでも体調が回復しにくい
- ☐ 微熱が続くことがある
- ☐ 頭痛や腹痛を頻繁に訴える
▶ 2つ以上当てはまる場合、単なる疲れではない可能性があります。
【チェック②】活動後の体調悪化
小児性慢性疲労症候群で特徴的なのが、「頑張った後に強く調子を崩す」ことです。
- ☐ 学校や外出の翌日に動けなくなる
- ☐ 行事や習い事の後に数日寝込む
- ☐ 「楽しかった後ほど調子が悪くなる」
- ☐ 本人は頑張りたいのに体がついてこない
▶ これは怠けではなく、回復システムがうまく働いていないサインの可能性があります。
【チェック③】学校・生活への影響
- ☐ 遅刻・欠席が増えている
- ☐ 登校できても早退することが多い
- ☐ 宿題や勉強に集中できない
- ☐ 学校の話題を避けるようになった
- ☐ 以前できていたことがつらそう
▶ 「行きたくない」のではなく「行けない」状態になっているケースがあります。
【チェック④】睡眠・生活リズムの乱れ
- ☐ 夜なかなか寝つけない
- ☐ 眠りが浅く、途中で目が覚める
- ☐ 朝が極端につらそう
- ☐ 昼夜逆転気味になっている
- ☐ 寝ても寝ても眠そう
▶ 自律神経の乱れが関係している可能性があります。
【チェック⑤】こころ・感情の変化
- ☐ イライラしやすくなった
- ☐ 不安を強く感じている様子がある
- ☐ 元気がなく、表情が乏しい
- ☐ 「どうせ無理」と言うことが増えた
- ☐ 自分を責める発言がある
▶ 身体の不調が続くことで、心にも影響が出ることは珍しくありません。
【チェック⑥】周囲とのギャップ
- ☐ 見た目は元気そうに見える
- ☐ 周囲に理解されにくい
- ☐ 「気のせい」「甘え」と言われたことがある
- ☐ 本人がつらさを説明できない
▶ 小児性慢性疲労症候群は「見えない不調」であることが大きな特徴です。
チェック結果の目安
▶ 5項目以上当てはまる場合
- 一度、医療機関や専門家への相談を検討しましょう
▶ 日常生活・登校に支障が出ている場合
- 早めの相談が大切です
- 無理に頑張らせないことが重要です
治療と向き合い方|「治す」より「整える」
現在、小児性慢性疲労症候群に対してこれをすれば必ず治るという治療法は確立されていません。
そのため、治療の基本は
主なサポートの考え方
- 生活リズムの調整
- 無理のない活動量の管理
- 心理的サポート
- 必要に応じた薬物療法
- 身体の緊張や自律神経を整えるケア
などを組み合わせて行うことが一般的です。
大切なのは、「頑張らせる」ことではなく「回復しやすい状態をつくる」ことです。
家族ができる大切な関わり方
周囲の理解と関わり方は、回復の土台になります。
家族が意識したいポイント
- 症状を否定しない
- 比較しない
- 焦らせない
- 小さな回復を一緒に喜ぶ
- 専門家につなぐことをためらわない
「信じてもらえている」という安心感は、子どもの心身に大きな影響を与えます。
まとめ|見えない不調に、見えない優しさを
小児性慢性疲労症候群は、外からは分かりにくく、理解されにくい病気です。
しかし確かに存在し、子ども本人は精一杯苦しんでいます。
- 怠けではない
- 気のせいではない
- 甘えでもない
正しい理解と、無理をさせない関わりが、回復への第一歩になります。
もし「おかしいな」と感じたら、一人で抱え込まず、医療機関や専門家に相談してください。